ルポ・エッセイ

『酔うと化け物になる父がつらい』レビュー 許せないけど嫌いにもなれない葛藤!

マンガ『酔うと化け物になる父がつらい』(著:菊池真理子・秋田書店)
オススメ度:★★☆

あらすじ:「夜寝ていると、めちゃくちゃに顔を撫でられて起こされる。それが人生最初の記憶……」幼い頃から、父の酒癖の悪さに振り回されていた著者。中学生になる頃には母が自殺。それでも酒をやめようとしない父との暮らしに、著者はいつしか自分の心を見失ってしまい……。圧倒的な反響を呼んだ家族崩壊ノンフィクションコミック。

アルコール依存症の父親と、その家族の話

前から気になってた作品。

タイトルが何だか怖くて避けてたんだけど、無料試し読みをしてみたら、

上半身裸の母親が作者(子供時代)の布団脇に立って「今日は一緒に寝ようか」と真っ暗闇の部屋の中で言ってるという、なんとも先が気になるところで終わっていたので、先が気になってレンタルしちゃいました。

読後感は何とも言えない、切なさが残りますね。

アルコール依存症の父親と、それに振り回される作者家族の話です。
淡々と描かれてますが、内容はかなり衝撃的です。

お酒に振り回されすぎて、何が真実で何がそうでないのかが、本人にも家族にも、もはや誰にも分からなくなってしまったんじゃないかと感じました。

感想ネタバレ

「毒母」は有名ですが、これは「毒父」です。

家族と向き合うことを全くせずお酒を飲み続ける父。
宗教に逃げ、そして生きることからも逃げてしまった母。

どこからどうみても作者さんは悪くないのに「自分が悪かったのではないか」と繰り返し考えてしまう思考回路が本当に切ないです。

数少ない優しい父の思い出にすがり、「嫌いになれない」作者さん。
いっそ心の底から憎しみを感じられた方が幸せだったのではないかと思えます。

父親から心に闇を植えつけられた作者さんは、とても自己肯定感が低いです。
そのためか酒を飲み、暴力を振るう彼氏を好きになってしまいます。
父親に愛されてる、愛されていた、と思いたいあまりに、父親と似てる人と付き合うなんて、まさに負の連鎖ですね・・・。

優しさが刃となって返ってくる

母親が亡くなってからも何も変わらず、お酒ばかり飲んでる父親を、作者は最後まで見捨てませんでした。

父親の闘病・介護・会社の解散手続き、そして見送りまで。。。
なんと優しい方なんだろうかと思いました。

優しすぎる心からか、父親が亡くなった後も悪夢に苛まれ、葛藤に苦しみ、心の整理に時間がかかったようです。

周囲の優しさに支えられ、徐々に自分の人生を生きれるようになってるみたいで良かったです。子供時代に苦労された方は、その経験を出来るだけ引きづらずに、幸せな人生を生きて欲しいなって心から思います。

作者さんが教わったズレてる価値観

最後の書き下ろしにあった、作者が周囲から教わったズレた感覚が興味深かったです。

「仕事して養ってくれた父に感謝しなきゃ」それただの親の義務
「お父さんとのいい思い出もあるよ」1万円払って100円玉もらってそれを宝物にしてるみたいだね

特に「ただの親の義務」っていうのが目から鱗で、管理人のズレも矯正されました(笑)
そうか、ただの親の義務なのか〜〜〜〜。

多くの人に読んでもらいたいと思える作品でした。

⇒ 登録なしで無料試し読み出来ますよ♪酔うと化け物になる父がつらい